東京もあと1週間くらいでそろそろ梅雨だろうか。ここ数日、なんともじめっと重い空気と風に包まれている。
肌にまとわりついて離れない不快な梅雨のじめじめ感は大きなストレスだ。「不快指数」という言葉を初めて聞いたとき、あぁ誰がそんな言葉を生み出してくれたんだろうと思うくらい、そんな言葉と尺度を自分の不快さを伝える表現手段として求めていたことに気づいた。
そんなあまり嬉しくない梅雨の時期だが、今年はとても待ち遠しいことがある。梅しごとだ。
梅干しを漬けたことは何回かあるが、昨年初めて梅シロップを作ってみた。もともと梅が大好きな私は以前、市販の梅シロップを買って水割りを飲んでみたことがある。ところが、想像していたようなさわやかな酸味の梅ドリンクにはならず、ねっとりした甘さが口にいつまでも残り好きになれなかった。もっと希釈すればいいのかと水の割合を増やすと肝心な梅の香りはなくなって、蜂蜜水のように甘さだけが残る。梅の香りが残るギリギリの希釈では甘さが強すぎて、最近の夏はどこかのメーカーの梅水が一番おいしい飲み物になっていた。
しかし、こんなふうにゴクゴク飲める梅ドリンクがどうしてシロップではできないのか、どうやったらさっぱりした梅ドリンクが作れるだろうか、といつも思っていたのは確かである。
それまで私は、梅と言えば南高梅の完熟、と思っていた。大きくて、果肉がやわらかくたっぷりで、香りがすばらしくいい最高の梅だから。
青梅はお酒にするにはいいけれど、そうでなければ値段を落したいときに使われるランク下のもの、という位置づけを勝手にしていた。
しかしふと、自分が青リンゴのチューハイが大好きなのに、赤リンゴのチューハイは甘いから好きではないことを思い出した。私の青リンゴチューハイ好きを知っている下戸の夫は、見かけるとすぐ買ってきてくれるのだが、赤リンゴを買ってくると「美味しいけど、どうしても飲みたい味じゃない」という私に「どこが違うんだ?」と面白くなさそうに首をかしげる。でも申し訳ないけど違うんだよね、完全に・・・。ふとそのことを思い出した私は、まだ青々としている南高梅を買ってシロップを作ろうと思い立ったのである。
今考えれば、なんでそんなこともわからなかったんだ?というくらい単純で、シロップ作りを毎年している人にとっては、それこそ首をかしげるレベルの発見なんだろうが、私の思い込みとしか言いようがない。思い込みとは洗脳のようなものだ。あれもこれもある中で自ら選択した考えではなく、それしかない、そこからしか思考が始まらない、自分の思考のスタート位置になってしまっていることを言うのだろう。
とにかく、ふと思いついた「青梅でなら・・・」という考えを試してみたくて、絶対できるような気がして、去年2キロの南高梅の青梅を購入しシロップを作ったのだ。
いやー美味しかった。本当に美味しかった。炭酸水で割ったが、控えめとはいいながら氷砂糖を使っているので梅水よりは甘いけれど、市販のシロップとは比べ物にならないほどさわやかで美味しく出来上がった。
2キロ分の梅でできたシロップは夏の間なくならないだろうと思ったのだが、1か月もしないうちに「計画的に飲みましょう」と家族におふれを出さなければならないほどになった。みんな、お茶代わりに梅シロップを炭酸水でシュワシュワーッと割ってクィーッと飲んだのだ。来年はよほどたくさん作らないとだめだなーと思うくらい、我が家では好評だったのである。
それからちょうど1年が経った。梅のシーズンもそろそろである。
昨夜、楽天で青梅5キロを予約注文した。2Lサイズの南高梅だ。6月中旬から約1か月の間に順次発送とのことで、いつ届くかは未定である。今から本当に楽しみである。箱を開けた時のあの梅の香りのすばらしさはどう表現していいものかわからない。家じゅうが幸せに包まれる素晴らしい香りだ。甘いバラの花束のような香りとでもいうのだろうか。あれ、そう言えば梅ってバラ科だっけ?
今晩中に楽天でちょうど切れかかっている炭酸水も注文しておこう。炭酸水はいろいろ試してみたが、今のところ私のイチオシは、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「おいしい炭酸水 純水使用」である。強炭酸で、一度開栓した後また飲むとき、気がほとんど抜けていないのがいい。水の味もいい。炭酸水を探している人がいたらお勧めしたいもののひとつだ。
今日も東京は朝から雨で、気温も21℃とちょっと肌寒い。梅雨に入れば気温も上がって不快指数は高くなるだろうが、それを差し引いても待ち遠しい、ちょっとワクワクする今日この頃である。