断捨離は夏から

断捨離という言葉、かれこれ15年以上愛用している私の電子辞書にはない。新しい言葉なんだよね。
ネットで調べて見ると、やましたひでこ氏がその著書のなかで使った言葉からくるのだという。今や断捨離の意味を知らない人は少ないだろう。大べストセラーとなった本なんだそうだが、私は読んだことがない。それでもこの言葉を知っているんだから、当然最近の電子辞書には載っているだろう。
言葉とは面白い。どんどん新しい言葉が生まれ、流行り廃れていく。断捨離は間違いなく前者のはずだ。

「断つ、捨てる、離す」の意味を私は「欲しいと思う気落ちを断つ。要らないものを捨てる。使ってはいないものだけど十分まだ使える物は人にあげるなどして手離す。」なんだろうと3Rsと似たものに解釈していた。しかし正式には違った。
もともとはヨーガの行法である断行・捨行・離行を発展させた解釈らしく、

「断」とは入ってくる要らないものを断つ
「捨」とは家にある要らないものを捨てる
「離」とは物への執着から心を離す

のだそうだ。そうやって気づかぬうちに自らを疲れさせている「物」への執着から心を自由にし、人生に向き合う心の余裕を持つという人生観に通じるものらしい。
なるほどね。確かに私は疲れているわ、台所でも、リビングでも、トイレでも、机の上でも・・・。

時々、年に数回くらい私は「どんな自分になりたいか」「どんな家にしたいか」「どんな生活がしたいか」を紙に書きだしている。一週間の献立を考えるメモのように、頭の中にモヤモヤとあることを言葉にしてはっきり自分に意識させるためだ。
その中で、「どんな家にしたいか」には特にものすごくたくさんの事柄が並ぶ。その筆頭にいつも書かれることは
「きれいにしたい」「シンプルにしたい」
である。

例えば台所。
「食品庫を充実させたい。調味料も乾物も非常食も、全てを一か所にまとめて、わかりやすく分別して収納したい」
「皿の出し入れがしやすいような食器棚に買い替えるか、食器を思い切りミニマムにしたい」
「鍋が取り出しやすいように引き出せるタイプに作り替えて、鍋の数を減らしたい」
「調理家電を使いやすいように、本当に使う物だけを厳選してコンセントに近い場所を確保したい」
「タイルではなく、掃除がしやすいコンロ周りにリフォームしたい」
など様々だ。

あれこれと非常食も兼ねて買い込んだ食品の在庫が、まとまったスペースがないために液体調味料はこっち、だけどコンソメ顆粒とかケチャップとかはこっち、缶詰はこっち、レトルトはこっち・・・と分散せざるを得ないことにストレスを感じているのだ。

食器もそうである。あれはたまにしか使わないけど残しておきたい、コレも高かったんだし捨てられない、これはもらい物で、もしその人が我が家に来たらこれを使って出してあげないと気にするかも・・・という具合で捨てられない。そうなると使いたいものがパッと出せないという面倒くささが派生し、ため息の元になるのだ。疲れの元になってくるのだ。
いや、これでも随分と断捨離した結果なんだよ、かなりね。自分たちの結婚の引き出物にした食器でさえ、ひとつふたつ残して後は捨てたんだから。

調理家電を厳選するのだって簡単にはいかない。我が家にはフードプロセッサーが3つある。旧・旧・旧式の「婆ミックス」と卓上タイプと小型タイプの3つだ。婆ミックスは鍋の中で使えるし、卓上タイプは、つくねや餃子作りには重宝する。小型はふりかけを作ったり、ミックスジュースを作ったりするのに便利なサイズだ。もともと、ふりかけづくりのために購入した小型タイプだが、これは婆ミックスでは容量が足りなくて仕方なく買ったものである。ところがこの小型、本体はコンパクトなのに、作ったその容器がそのままコップになるという付属品のコップが4つもついてきた・・・。別売りにしてくれればいいのに、ついてこられちゃうと捨てられないのよね・・・。

実は、この3つのプロセッサーに加えて大型ミキサーもある・・・。トマトジュースとかバナナミルクセーキとかを昔から作るときに使っており、手入れに気を使って来たから、今はしばらく使ってはいないけれど、まだまだ現役だと本人も言うだろうと思うようなどっしりとしたミキサーだ。バナナジュースだったら小型を使って1人1本のバナナと牛乳をコップに入れてミキサーにかけて・・・という風にすれば4つのコップを使うことできるが、私の大好きなトマトジュースはそうはいかない。夏のシーズンだけとはいえ、ゴロゴロと不格好なトマトと塩少々を入れて、大きいミキサーでガーッと回さなくちゃ雰囲気でないでしょ。

はぁ~こう書いているだけで疲れてきた。やっぱりありすぎだ。わかってる。でもどれを捨てたらいい?その判断がスパッと決まらず、ぐずぐずするうちに「また今度考えよ・・・」と保留になってしまうのだ。

炊飯器も電子レンジもトースターも持たない人がいる。彼女の家はご主人の設計による、いわゆるデザイナーズハウスで、美術館のような家だった。生活感の全くない家で、リビングは吹き抜けの天井まで届きそうな巨大な観葉植物があるだけ。あとはソファがあるだけで他は何もない。テレビもない!と思ったら壁に備え付けのテレビで、壁一面がテレビを隠す扉になっていた。そこまで生活感を消すのかと驚いたら、その扉は映画をプロジェクターで映すためのスクリーンになるのだと聞き、へ―っ!!と大きな声を上げて驚いてしまった。

彼女のすごさはリビングの豪華さ(何も置いてないけど)だけではない。台所は本当になーんにもないのだ。外から見えるのは冷蔵庫と大きなコーヒーメーカーだけ。
食器棚は作り付けの物入れのような引き戸の中にあり、中に仕舞われていた食器はほとんど白一色だった。そしてとても大きな作り付けの食器棚なのに、皿の数の少ないこと!
彼女は冷蔵庫と洗濯機は持っているが、炊飯器も電子レンジもトースターも持っていない。ルンバはあるが掃除機も持っていないという。

御飯はフィスラーの圧力鍋で炊き、おひつに入れる。電子レンジは温めるだけならコンロでという生活で、オーブン料理はしない。パンは魚焼きグリルで焼く。魚は魚焼き用の蓋が閉まるフライパンで焼く。掃除は床は白い石(たぶん大理石)なので、ルンバをかけた後はレンタルモップを使うそうだ。

トイレもまるでデパートのブランドショップが入った階のようだ。スリッパがあるだけで、マットもホルダーカバーもない。剥き出しのステンレスホルダーにカバーのつけていない真っ白い自動洗浄トイレがあるだけで、飾り物は1つもなかった。完全なミニマムな白一色の暮らしである。子どもはいない?いえいえ、女の子だが1人いる。信じられない暮らしぶりでしょう?

彼女の家から帰宅して自分の家のトイレに入った時、げんなりした。あーこれもいらない、これもだ、と・・・。我が家は男の子で当時はまだ小学生。トイレ掃除は毎日になるのでマットやシートカバーはなかったがホルダーカバーはしてあったし、壁には地図が貼ってあった。季節の飾り物も置いてある。もうなにもかも取っ払ってしまいたかった。不衛生!という感じが突然ものすごくしてきたのだ。

台所もそうである。なんと物の多い台所だろう。彼女の台所の半分もないスペースなのに、台所家電がコンセントを奪い合うような状態だ。
ちょうど炊飯器の内釜が傷んでいて、新しく炊飯器を買おうと検討していたところだった。そこで彼女の教えてくれた通りに我が家の一番の古株、セブの圧力鍋でご飯を炊いてみた。美味しいじゃないの!少し硬めに炊き上がった御飯は私の好みの食感である。うちも炊飯器要らないじゃん!捨てられるじゃん!買わなくていいじゃん!と目からウロコの気分になって、炊飯器を使わない生活が早速始まった。

しかし、一週間ほどでギブアップ。毎朝子どものお弁当作りをしている私には、炊飯器は睡眠を助けてくれる道具だったからだ。彼女は圧力鍋で朝から炊いているそうだから、ミニマムな暮らしは規則正しい生活ができるかにもかかってくるんだね。そう、彼女は夜10時には寝るのだ。朝は5時前には起きているという。そして朝一番にすることは、夜の間に浸水させておいたお米の入った圧力鍋を火をかけることらしい。フィスラーでご飯を炊きながら、子どものお弁当のおかずを作る。その後ルンバをかけながらコーヒーを飲み、新聞を読んだりして、夫や子ども起きるまでの朝の時間をゆったりと過ごしているそうなのだ。

涙が出るよ、この違い。こういう人キライ・・・って思っちゃう。ミニマムな生活の上に完璧な生活ができるのではなく、完璧な生活の上に、ゆとりあるミニマムな暮らしが成立しうるのだ。
でも、だからこそ憧れるのかもしれない。不要なものを捨てさえすれば、部屋がすっきりすれば、一時は断捨離めくかもしれないが、おそらく人生観の見直しまでは届かない。早寝早起きし、ゆったりと、でもだらだらしない健康的な心と生活が無ければ、心が安らぐ真の心地いい暮らしは経験できないように思える。私のように、切り捨てられないと勝手に思いこんでいる雑多ものに心も体も疲れさせ、性格からか日々の疲れからか、台所の狭さに不平不満ばかり言ってひと手間をかけることをショートカットしたがったり、ギリギリまで布団の中でぐずぐずと、ぬくぬくしているような怠惰な人間には真似はできない。
でも、これらは性格も確かにあるけれど、どこかで悪縁を断ち切るように、自分の生活ぶりを根こそぎ改善しなければならないと思った。極端に始めたって・・・と思うけれど、だからと言ってずるずる、心が疲れきった今の生活を続けるのも、結局は苦痛を長引かせるだけな気がする。

何から始めよう?一番狭い空間から始めるといいんだよね。トイレから?洗面所から?
いや、やっぱり台所から始めよう。まずは3つもあるフードプロセッサーと大型ミキサーを何とかしよう。食器ももう一度見直そう。それだけでもだいぶ違うはず。
そして、ゆくゆくは炊飯器ともお別れできるようになろう。そのためには早寝早起きだね。
よし、まず今日は早く寝る! 目標、11時だ。いつもより2時間ほど早い。
これから夏だ。サマータイムだと思って始めたらできる・・・かな?

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