薬味の季節

5月に入り、東京も初夏の気温となってきた。今年は5月5日が立夏だった。暑くなるのは当たり前だね。部屋にいる分には暑くもなく寒くもなく・・・だが、外に出ると気温よりも日差しがきつい。背中は西日の熱線でトーストにされてしまいそうだ。

こうなってくると、さわやかな献立が急に恋しくなってくる。香りのいい、のど越しのいい、酸味のあるメニューだ。これに薬味は欠かせない。
日本人の料理にはフレッシュな薬味とかツマが必需品だ。わさび、生姜、大根おろし、大根のツマ、紫芽、シソ、ミョウガ、アサツキ、ミツバ・・・。彩りの問題もあるけれど、例えば冷奴に醤油だけをかけて食べるとしたら、物足りなさはちょっとどころじゃない。生姜が欲しいし、アサツキとかシソとか鰹節とか、何かが欲しくなる。食べ物にこだわりのない夫でさえ単身赴任中、薬味をその都度刻むのは面倒だが、豆腐と醤油だけは嫌だと言って、我が家の醤油代わりである「だし醤油」を送ってくれと言ってきた。鰹節の香りの効いただし醤油は薬味の無さを少しばかり癒してくれるらしかった。

この薬味、冬のお鍋でもより美味しく食べようとすると、わき役としてたくさん並ぶ。大根おろし、もみじおろし、ネギ、生姜、一味、シソ、ゆず、ゆずコショウ、すりゴマ、ラー油、ニンニク・・・。1つのメニューなのに、薬味によって何種類もの鍋を楽しんでいるみたいで楽しいし、薬味が「いい仕事」をしてくれるおかげで大満足の晩御飯となるだろう。我が家はこんなにも並ばないけれどね。半分くらい、かな。

しかし夏のメニューになると、この薬味や香草がわき役にはとどまらず、メインのようになってくる。カツオのたたきを食べるとき、私はさらし玉ねぎのふわふわ布団の上にカツオをのせ、アサツキ、シソ、ミョウガ、生姜、ニンニクなど家じゅうにある薬味をこれでもかっ!ていうくらい、てんこ盛りに盛りまくる。カツオが薬味の山に完全に隠れてしまうほどだ。それをまるでサラダのようにしてゆずの効いたボンズで食べる。もう最高! こんなにフレッシュな香草いっぱいにして食べるのって、日本以外にあるのかしら。

しかし、こんなにどっさり薬味を使うメニューより、ちょこっとだけネギ、ちょこっとだけ生姜、ちょこっとだけシソという使い方が私はとても多い。考えてみると毎食、このちょこっとだけ使う料理を出している。でも、日本の食事ってだいたいこんな感じだよね。
例えば今朝、私が作った子どものお弁当は・・・

豚肉とシイタケとピーマンとキムチの焼肉
エビのマヨチリソース、サラダ菜添え
小松菜としめじと揚げの煮浸し 生姜風味
釜揚げしらすとアサツキの玉子焼き
ゆかりごはん

私の作るお弁当はたいていおかずが4品。「サラメシ」の番組が大好きだが、あんなに何品も彩りよく、美しく詰めるお弁当は私には絶対作れない。私のお弁当は全て手作りで、チン!と鳴る料理はないということと、すべて味付けが違うメニューにするというくらいがウリのお弁当だ。
そんな今日のお弁当にも、何気に全て薬味が入っている。焼肉は市販のたれを使ったが、生姜を追加で少し加えた。エビのマヨチリにはニンニクとネギを使っている。青菜の煮浸しにも生姜がたっぷり、玉子焼きにもアサツキが入っている。ごはんにかけたゆかりも赤シソだ。これは去年作った赤シソ酢の後の赤シソをカラカラに干してミキサーにかけ、塩を振った自家製のゆかりである。

子どもは学食もあるのにお弁当の方がいいという。学食は「量のわりに値段が高すぎる」し「好みの味ではない」ということが理由らしい。
好みの味ではないとはどういうことかと聞いてみると、学食は「味が濃い」「濃度が濃い」のだそうだ。
私のお弁当が子どもの口に合うのは、生まれた時から食べ慣れている味なので当たり前のことだが、私のお弁当がそれほど薄味かと言えばそうでもない。たぶん普通だ。しかし、薬味がかなりしっかり効いているので、薄くても物足りなく感じないだろうし、普通に濃くても風味の方が勝るんだろうと思う。つまり子どもは、薬味の効いたメニューにある意味騙されているということね。

薬味が大好きで欠かせないとはいえ、これをいちいち刻むのは夫でなくても面倒だ。で、私はネギや三つ葉、パセリを全て細かく刻み、冷凍庫に常時ストックしている。他にもベーコンを使いやすいサイズに切ったもの、油揚げの千切り、きのこ、ひき肉のそぼろ煮なども入っている。
例えば朝ごはん。納豆にネギをパッ、豆腐の味噌汁をしたら最後に三つ葉をパッ。後は漬物や昨夜の残りのサラダなど出せたら、我が家の朝ご飯としては完璧だ。洋食の朝も、玉子に溶けるチーズとベーコンをパッ、パセリをパッでオムレツができるし、マグカップにこぶ茶の粉と水、豆腐を少し入れて電子レンジで温めたら三つ葉をパッで簡単スープの出来上がり。このスープはスパゲティのお店「五右衛門」のスープを真似たものだ。長ネギは水分が多すぎて冷凍すると塊になってしまって降格になったが、しょっちゅう使う薬味はこんなふうに冷凍庫に入れて、手を掛けないようにしつつ薬味を欠かさない生活をしている。

わさびや生姜、辛子、ニンニクといったすりおろし系の薬味はチューブや瓶のお世話になっている。以前はわさびだけだったのだが、お弁当でちょっとだけ擂るというのが面倒でチューブのお世話になりだしたら止まらなくなっちゃった。生姜なんて2週間しないうちに1本使い切ってしまう。やっぱり自分ですった方が香りもいいし経済的なんだけど、どうやったらやめられるだろう。SB食品の術中にはまっているね・・・。

これからますます暑くなって傷むのも早くなるシーズンだ。
何が冷凍に向いていて、何がダメなのか試しながら、冷凍庫の薬味をもっと充実させていこう。
冷凍庫から出してパッとできると、なんか妙に得した気分になるんだよね。

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