一昨日、ちまきを初めて自分で作った。我が家の近くのデパートの中には和菓子屋が4店舗入っているが、ちまきの取り扱いは1店舗だけ、その1店舗も「ういろうちまき」は取り扱いがないと言われた。
ちょっと電車を使った先のデパートに行けば買えるかもしれないが、行ったからといって必ずしも手に入るとは限らない。何度もここで書いてきたが、もう東京でちまきを探すのは基本的に無理だ、と諦めてしまった私は、今月2日の夜に放送された「グレーテルのかまど」を頼りに、自家製ちまきに初チャレンジすることにしたのである。
こんなにまでちまきにこだわるなんて、東の人は理解できないかもしれない。夫は全く理解できないようだ。あれば食べるが、なくても構わないものという位置づけである。だいたい、結婚するまでちまきを食べたことはもちろん、見たこともなかったそうだから仕方がない。
しかし、私にとってちまきのない端午の節句とは、クリスマスにチキンがないのと同じくらい拍子抜けするものだ。チキンじゃないなら、我が家にだけサンタさんが寄るのを忘れてラップランドへ帰っちゃった! というくらいショッキングなことなのである。
「グレーテルのかまど」の録画を3回も見るうちに、なんだか自分でも簡単にできそうな気がしてきて、4日は朝から材料を買い込んだ。
上新粉、葛粉、上砂糖、笹の葉、いぐさ、材料はこれだけだ。シンプルだよね。実際ちまきはシンプルな食べ物だ。ヨモギやあんこ、黄な粉も不要。笹の葉の香りがこのお菓子の全て、という潔さである。
上砂糖は家にあるので、それ以外をお菓子作りの専門店の富澤商店で購入。
笹の葉はちょっと悩んだ。塩漬けの笹の葉30枚とレシピにはあったが、富澤商店には乾燥の笹の葉か水煮の笹の葉しかない。乾燥の物は50枚入り、水煮は10枚入りだ。お値段を比較すると乾燥の方が経済的であったが、乾燥笹の葉の戻し方は特にレシピにはない。一か八かだったが、きっとできると信じて乾燥の笹の葉を買った。
熱湯でゆでて戻したが、なんだか色が「緑」じゃない。茶色とまでは言わないがくすんでいる・・・。水煮の笹はきれいな緑だったから、乾燥を買ったのは失敗だったかな・・・と不安になった。初めての手作り、一年に一回のちまき・・・。新たに水煮の笹の葉を買いに行こうかしらと思ったくらい悩んだが、まあちまきってこんな感じにくすんでるよね、と思ってそのまま使うことにした。きれいな緑の笹の葉は、新潟の笹団子とか京都の麩まんじゅうとか、富山のます寿司や敷物にするようなときに使うんだね、きっと・・・と自分に言い聞かせて。
上新粉と上砂糖をだまにならないように混ぜて、葛粉はぬるま湯で溶き、濾しながら混ぜる。テレビで見たようにサラッサラだ。テレビを見てなかったら「水が多いんじゃないの?」と不安になるところだが大丈夫。テレビもサラサラだったもん。
電子レンジで何回かに分けて温めてはかき混ぜ、温めては練りを繰り返してういろうをつくる。砂糖はなんだかレシピの分量がちょっと多いような気がして、気持ち10gだけ減らした。10gくらいだったら大して変わらないはず。
サラサラだった液体はモッチモチになって練るのは本当に重労働だったが、ちょっと味見してみると美味しい!10g減らして大正解。ちょいうどいい甘さだ。出来上がりが一気に楽しみになった。
ゴルフボール位の大きさに丸めてから、それぞれを紡錘型にのばした。手に水を付けながら粘土のように形つくっていると、ぽよよ~んとして面白い。それを扇形に広げた3枚の笹の葉で端から巻いていく。きっちり、ぴっちり巻いてから、さっとゆでておいたいぐさを使って縛っていく。ちょっと難しくはあるけれど、頑張んなきゃ!そう思って、巻いて巻いて~を繰り返して10本のちまきが出来上がった。
これで出来上がりと思いきや、10分蒸して、その後はキンキンに冷やすとある。
我が家の蒸籠は竹の蒸籠だ。ひのきの蒸籠にしたかったが、お高いので竹のものを使っているのだが、まさか蒸籠を買ったときはちまきをつくろうとは思ってもいなかった。結果オーライだよ、良かった良かった。竹の蒸籠で笹ちまきを蒸す。なんだか統一がとれていて、いいんじゃない?
10分ほどもうもうとした湯気の中で蒸し、次はキンキンに冷やし、10本のちまきが出来上がった。ヤッホー!
いつもなら「5本にする?高いから3本にしようか。みんなで1本ずつね・・・」と大事に大事に食べる高価なちまき。柏餅の方がどれだけ安いことか・・・。私が買うのはたいてい3本で1200円くらい、5本で1800円くらいだ。東京に仕入れる量が少ないからそれだけ単価が上がるのかもしれないが、高すぎるよね。私が買った所だけかしら??
とにかく今年は「まぁ遠慮なく食べてくれ」て感じだ。足りなきゃまた作るよ、笹の葉、あと20枚残っているもん。笹の葉ケチって1本につき2枚の笹の葉にするなら10本作れるし、他の材料も残っている。作り方はわかったんだから、もうちまき探しの旅は終了だ。なんならクリスマスにだって作れるぞ。
洋菓子は私には難しすぎるが、今回初めてちまきを作ってみて、これなら草餅とか三色だんごとかも作れるだろうし、道明寺粉の桜餅も作れるような気がしてきた。富澤商店は自然食品の店だとずっと思っていたが、お菓子の材料の店だったんだね。初めて知ったよ。
これから和菓子をバンバン作ってみよう。夏は和菓子のシーズンだ。
水まんじゅうでしょ、麩まんじゅうでしょ、あゆ餅でしょ、わらびもちでしょ、水ようかんでしょ・・・。