OXO計量スプーン 意外と難しい選び方

随分前から私は計量スプーンに不満があったようだ。我が家の、に不満があっただけなんだが、計量スプーンてどれもこんなものだと思っていた。

今、私が使っているのは貝印の計量スプーン。三本組でヘラ付き(DL-0345)。
計量するだけのスプーンなんだし、500円ほどの金額も妥当だと思った。計量するだけのスプーンにデザインなど関係ないし、機能だって違いが出るわけがない、と思っていた。そもそも「比較して考える」なんて発想を計量スプーンに持っていなかった。
しかし、それは大きな間違いだったみたいだ。購入後も「どれもみんな、こんなもん」と思って使っていたが、使い勝手の悪さは長年プチ・ストレスになっていたんだと今になって気づく。

何が不満?
まず第一に、サイズ違いの3本のスプーンとヘラをまとめているリングである。
このリングでつながれている3本のスプーンのうち、使いたい1本を握って計量するわけだが、その間、残りの2本とヘラはジャラジャラと手の周りで暴れまわる。慎重に液体を計っている最中だっていうのに、邪魔ったらありゃしない。
おまけに、粉を擦り切るためのヘラがついているのは有り難いが、そのヘラまでリングで一緒につながっている。
何のためのヘラ? つながったままどうやって擦り切れというの?と、ため息が出た。

それなら、スプーンもヘラもリングから取りはずせばいいじゃないかと思うが、いつもすぐ手にできる位置に計量スプーンを置いておきたい私は、矛盾するようだが、台所の正面のフックにかけておき、すぐに使いたいスプーンを取れるのが理想である。だがスプーンの穴はフックの太さより小さいため、リングを外してしまうとフックに掛けることができない。1本につき1つのリングをつければこの二つの問題を解決できるのだが、作り付けになっているフックには「取っ手の取れるティファール」の鍋の取っ手が3本かかっていて、フックの余りはひとつだ。コップにさしておく、という方法もあるが、狭い調理台には何ひとつ物を置いておきたくないし、面倒くさがりなためコップを洗う頻度もきっと少なく、ホコリの心配があって採用できない。

背に腹変えられぬ、と吊るすのをあきらめ、リングから外して引き出しにしまってみたが、長年やってみるとそれも少々問題があった。
スライドが軽ーく動く我が家の引き出しは、引くのも戻すのも力が強めにかかると、ぶつかる衝撃で中の細かなキッチン用品が飛び上がり、中が乱れる。しょっちゅう開け閉めする引き出しをその度に整えるのも面倒で、そのうちに中はますます乱雑になり、目的の大きさのスプーンを取り出すために、一瞬とはいえ「探す」という手間が起きていた。
勿論、どんな料理にも計量スプーンが必要になるわけではない。だが使いたいときに、1引き出しを開ける、2スプーンを一瞬探す、3スプーンを取り出す。文字にすればこれだけの事だが、日々の台所で長年そうすることは結構なストレスになっていた。

第二の不満は「持ってるしかない」ということ。
計量している状態で、ちょっとだけ仮り置きしたいと思っても、半球のスプーンは置いても立たず、左右にふらふらと揺れて液体はこぼれてしまうんだよね…。

計量する目的のためだけに作られたはずのスプーン。なのに、どうしてこんなに計量しにくいんだろう。
それぞれの台所事情もあるし、感覚も違うだろうが、私の場合は自分の計量スプーンの使い勝手と台所環境と自分の料理の力量のバランスが悪く、計量スプーン嫌いになって、いつからか余程でない限り計量しなくなってしまった。
そして「私の料理は目分量よ、勘!」とまわりに豪語してきたが、聞こえは良さげだけど、味の方は?と言えば、まさに勘違いの味になることも時にはあったし、目分量とは気分量かとおもうくらい、日によってまちまちだったりもした。つまり、味が「決まらない」。

たとえ自分が頭に描いていた味にならなくても、「これも家庭の味。家庭ならではの醍醐味ってもんよ!」くらいまで自分の中で開き直り、へこむ気持ちをごまかして堂々と食卓にのせてきた。
でも、時には言い訳を述べてからでないと食卓に出せないとか、食事中にちらちら顔色を見て何度も「どう?」「どう?」とつい聞いてしまうような日もある。なんか変、なんか変・・・と少しずつ味の調整を試みたような日は、たいていそうだ。
夫は「美味しいよ。思っていた味じゃなかったの?」と私を気遣ってか、一度も不満を言ったことも、ましてけなしたこともない。いつも文句ひとつ言わずに「ごちそうさま、美味しかったよ」と毎回言って完食してくれる。あぁ心優しき夫・・・と有り難く思うが、もしかして西郷さんだったりして・・・?
しかし文句言わずに、美味しいとさえ言って食べてくれる夫と子どもを見れば、罪悪感に加え、味音痴になってしまわないかという不安までおきて、ますますへこむものだ。
なら心を入れ替え、計量スプーンをちゃんと使って料理すればいいのだが、不満だらけの計量スプーンで毎日毎日計量しながらなんて、意志の弱い私にはやっぱりできなかった。それは、出勤前のバタバタした時間に、穴に紐を通すところから編んで靴を履かなくてはならないのと同じくらい、時間的にも精神的にも負担だったからだ。
そうこうするうちに、「あんた、台所すきねえ。一日中いて嫌にならない?」と今は亡き母に笑われてもいたくらい料理が大好きだった私が、料理そのものがどうでもよくなりつつあるほど料理熱は冷め始めた。山とあった料理本や書き留めたレシピはほとんど捨てた。そしてここ数年、それまでのように新しい料理を作ることはなくなり、目分量で自信のある我が家の定番料理しか出さなくなってしまった。

この適当な味付けの原因はどこにあるのか、今まで深く考えてきたことがなかった。当然計量してないからだとはわかっても、じゃあどうして計量しないのか、計量したくないのか、そこまで考えたことはなかった。考えたことがなかったということに、最近になって気づいたくらいだ。そして長い無思考期間を経過して今、ここまでに書いてきたように、その原因は計量スプーンの使い勝手の悪さが理由のひとつだと気付いた。原因はこれだけではないはずだが、そうよ、計量スプーンが悪かったんだ!と叫びたくなるくらい、それは思ってもみなかった結論だった。

すぐさま楽天で計量スプーンを探してみたが、ざっとみた中ではどれも一長一短に思えた。本当に満足のいく計量スプーンを使っている人ってどのくらいいるんだろう。私が物を知らないだけだろうか。

しかし、こうやってインターネットを徘徊して熱心に探している間に、実はものすごく大きな発見をした。自分がとんでもない間違いをしていたことを、突然知ってしまったのだ・・・。
我が家の計量スプーンは3本セット。当然一番小さいスプーンは小さじだと思っていた。だって大中小だもの。
スプーンには2.5ミリ、 5ミリ、 15ミリとしか書いてなかったし、何といっても2.5ミリは「小さじ」っぽい感じだった。
だが、小さじ1とは本当は5ミリのことだと初めて気づいたんだよね。
つまり、私が20年信じていた大中小の小スプーンは、小さじ2分の1だったのだ!
この計量スプーンは、確か母も同じものを使っていたように思うので、だとすれば実家にいたころから、もしかすると30年近く私は小さじを間違えていた可能性がある…。
料理のレシピにはたいてい「小さじ1」「大さじ1/2」「1カップ」という風に、物差しとなるスプーンやカップで表わすか、あるいは「5g」と重さで書いたり「2.5cc」など量で書いたりするけれど、普通「小さじ1 5cc」って丁寧に書いてあるかしら? あっても、多くはないんじゃないかしら?
仮に「小さじ1 5cc」と丁寧に書いてあるレシピに出会ったとしても、私はきっと「5cc」だけが目に入った日は、古い計量スプーンの曇った刻印を見て中スプーンを使い、「小さじ1」だけ目に入った日は、曇った刻印をしっかり見ることなく、ハナから信じている小スプーンを使ったのだろう。
毎週日曜日の朝食に食べていた自家製のパン。前の晩、こねて焼いてくれる機械に他の材料と一緒に、いつも「小さじ1」のイースト菌と塩をきっちり計量して入れていた。小さじだと信じている一番小さい計量スプーンで。なんてこと・・・!
十分美味しいパンだったけど、もし中サイズのスプーンで計ったイースト菌を入れていたら、もっとふかふかにふくらんだ、もっと美味しいパンができていたのかもしれない。ピザももっと美味しい生地ができていたかもしれない。

この年になると、そうそうびっくりすることは少なくなるが、この発見は目からウロコどころではない。私の20年、30年は何だったんだ?というレベルなのだから。そのせいで計量スプーンを使って料理しても、長年味が決まらなかったのかもしれないのだから。
料理好きの私が料理熱を冷ました原因はこんなところにもあったのなら、私の思い込みを差し引いても、道具の罪は大きくない?

さて、優秀な計量スプーンをネットで探した結果、奇しくも我が家の計量スプーンと同じメーカーの貝印で「セレクト100、4本セット」がよさそうに見えた。
まず第一に小さじ1/2、2.5ccと刻印で両方表示されている部分は重要、かつ最高だ。
第二にステンレス製だということも合格。煮沸消毒もできて、清潔に使える(見える?)ことが私のキッチン用品の譲れない条件だから、煮沸温度に耐えられる素材であることは重要なポイントである。
第三に、私の計量スプーンの口は半球だが、こちらはひしゃくのようなカップになっていて、それぞれのサイズのカップの高さに合わせて、持ち手の末端がカーブしていることにより、スプーンをテーブルに水平に置くことができるという代物なのだ。これなら今までみたいに左手でプルプルしながらスプーンを持って、右手で調味料を慎重に注ぐ…なんてことしなくても、テーブルに置いたまま計量することだって可能だよね。
第四は入れ子になること。たいていの計量スプーンは重ねるが、こちらはカップなのでカポカポッと入れ子になる。持ち手もきれいに重なるよう設計されている。ビューティフルだ。
まだある。第五に、この計量スプーンは持ち手に穴は開いているけどリングはない。穴も大きく、少なくとも我が家のフックにはかかりそうな大きさだ。「穴はあけておくからフックにかけたい人はどうぞ」というところは、台所正面のフックに掛けることが第一前提の私にはぴったりだ。

しかし、第五にいい所とした「穴」がやや気になった。この穴、持ち手の先端に開いているわけではない。先端までちょっと距離がある。試してみないとわからないが、フックによっては掛けたり外したりするとき、つっかえたりしないかしら?
面倒でも計量スプーンを正しく使って、ピシッと味が決められるようになりたい私としては、決して使う前にワンクッション無駄な動きはしたくない。
でもまあ、穴については試してみないとわからないし・・・と一抹の不安はあるものの、他は満足だし・・・とポチろうとしたが、その前にやっぱりレビューを確認。すると、使った人でなければわからない欠点がみえてきた。

レビューによると、粘度のつよい調味料、例えば味噌、マヨネーズ、トウバンジャンなどをこれで計量すると、端が四角いカップなため隅に調味料が残ってしまう、というのだ。と言うことは、おそらく、調味料を入れるときもドロッとしているものは隅々まで入らない、ということだろう。計量してるのに全量を入れることも、使うこともできなければ計量の意味は全くない。汁で洗うように全量加えられる料理でないときは困るだろうし、レビューでは洗う時もこの形状のために、オイル系のものは隅に汚れが残るし、小さい計量スプーンはさらに洗えないとのことだった。
満足して★5つを出す人もいたが、「計量しきれない」「洗いきれない」となると私には向かない・・・。

せっかく気に入って決まりかけたのに・・・と思いもするが、レビューは有り難いものだ。気を取り直して他をあたってみた。
すると次に目を引いたのはOXOの計量スプーン!写真や説明だけを見ていて、OXOのものと知らなかったのに目に留まってしまった。どうしていつもOXO? 好きだねえ私、OXO・・・。
こちらのいい所は、まさにOXOならでは、という所だ。使い勝手の良さが前面にあふれている。
ご病気のせいで家事に難儀している奥さんのために、使い勝手のいい道具をとご主人がデザインした「妻への愛」から始まった品々だから、他の数あるキッチンブランドとは何か違う。ただの「ユニバーサルデザイン」っていうだけではない奥行き・・・。男の優しさ、男の愛みたいな。

OXOの「ステンレス スリムメジャースプーン」は、まず他のものと違って名前の通り、非常にスリムな口のデザインだ。
普通の計量スプーンのように、まあるいカップ部分では入りにくいような狭い入口の容器であっても、OXOのスリムな口ならシュッと入りそうだ。私はこのメリットはOXOのこのデザインを見るまで考えたこともなかった。さすがOXOは目の付け所がシャープ!
そして極め付きは、容器のへりで摺り切りができることだ。スプーンの口の部分とそれに続く柄の部分がフラットにデザインされているため、粉ものの容器の中でさっと擦切ることができるのである。この気持ちよさってどこかで経験したことあるなあ…と思いめぐらして、すぐにひらめいた。赤ちゃんの粉ミルクだよ!
私が買っていたメーカーの粉ミルク缶は、外蓋を開けると透明なプラスチックの内蓋が半分ほどカットされた状態でついていて、付属のスプーンで粉ミルクをすくった後、このプラスチックの板のところで擦切るときれいに計量できた。真夜中のミルク作りはしんどかったが、落雁のように細かいクリーム色の粉ミルクがスパッときれいに擦り切れる様は、本当に気持ちよかった。今でもその感覚が呼び起こされるほどだから、OXOのこの擦り切れるスプーンはきっと病みつきになって、計量しまくるかも。
それにすごい点はまだある。5本組になっている計量スプーンをリングがつないでいるので、ちょっとがっかりしたのだが、よく見ると普通のものとは違う。スプーンの先端に穴をあけてリングで束ねているのではなく、スプーンの柄にC字の切れ込みをいれて、その切れ込みにリングをひっかけている形状なのだ。外しやすいのは一目瞭然。やっぱりOXOは私の悩みを知ってくれていたのね!そう思って嬉しくなった。
ラストにもう一つ、OXOの「妻への愛」が見えるのはその持ち手の形である。よくある計量スプーンはステンレスにしてもプラスチックにしても平ぺったいと言うか、握って持つというよりつまんで持ってしまうような形なのに対して、OXOの持ち手はややふっくらしていて、なんとも握りやすそうなのだ。それに「濡れた手でもすべりにくい」ということも特長だとHPにはあった。なるほどね。

加えて、このスリムメジャースプーンはシャベル型にもかかわらず、調味料を入れた状態でしっかり水平に安定するそうだ。口が四角くないのに水平に置けて、かつ四角くないので洗いやすい、ということ。もう欠点なんてみつからないじゃないの!

しかし、こうやって自分の悩みが全部解決されるだけでなく、気づかない点まで良さが見つかるうちに、自分が計量スプーンでどんなミスをしていたのか忘れていた。 「小さじ1/2、2.5cc」という風に両方刻印してなきゃ!!
でも、OXOはアメリカのブランドなので「小さじ」とは書いてなかった。HPでは一番小さいサイズだけはっきり「1/8 tsp」と書いてあるのは見えるが、全てのサイズを一本ずつ見える写真ではなかったため、表示がどのようにされているか、OXOの正規販売店の「プラスエフ」さんに問い合わせをしてみた。
ものの1時間もしないうちにお返事をいただいたが、表示についての説明とともに、はっきりとよく見える写真まで添付していただいた。さすがOXO!
それによると、こうだ。

1/8 tsp =小さじ1/8 (0.625ml)
1/4 tsp =小さじ1/4 (1.25ml)
1/2 tsp =小さじ1/2 (2.5ml)
1 tsp =小さじ1 (5ml)
1T =大さじ1 (15ml)

「小さじ」とは書いてないが、これなら私でも間違えないだろう。たとえtspがティースプーンのことで、Tはテーブルスプーンの事だと知らなくても、小文字と大文字で判断することもできる。
それに他の分数表示されているスプーンは、1 tsp と同じくtsp ( teaspoon ) の単位がついているのだから、1T (Table spoon ) の分数スプーンだと間違えることもない。1 tspと1T だけなら、大文字小文字なんて見なくたって、見た目の大きさだけでどっちが大さじかもわかるしね。
ただ、ml は表示されていない・・・。唯一の残念な部分だ。しかし、ml でレシピはあまり書かないし、ほとんど問題ないだろう。OXOに心が激しく傾いているので、ここは片目つむって寛容になる・・・。

計量スプーンにしてはお高い値段ではあるけれど、私の悩みが99%以上解決されて、なおかつ私の好きな「ステンレス×黒」のかっこいいデザインだ。それに、使いやすそうなものを探していたら、結果的に私の中でベスト3ブランドの中のOXOにたどり着いた、ってところ、運命的としか思えない。

よし、決めた!!

手にしていないのでまだ断定はできないが、OXOの「ステンレス スリムメジャースプーン」は私にとってほぼ100点満点!
たしかに、日本語で「大さじ」「小さじ」と書いてないのは残念ではあるけれど、アメリカの製品なのだし、どこの国の人でも見分けることができる工夫がされているので大丈夫だ。
でも、握りやすさを損ねない今のポリプロピレンのグリップのまま、そのグリップに刻印でml 表示がされていたら、私の中では100点以上だったのだけど。
見た目がうるさくなるかしら?OXOさん、どうでしょう・・・?

 
道具は本当に大事。OXOのアングルドメジャーカップを最初に見た時、目からウロコどころか、たまげた。上から目盛りが見える計量カップなんて、いったいどうやっておもいついたんだろう。
新しい道具を作り出すのも大変な発想力だと思うが、それまでにもあった道具から、植え付けられた概念を打ち壊して新しいものに作り変える、という発想はそれ以上だ。道具に対する「愛」と、使う人への「愛」がOXOにはあふれている。こんなに驚くような商品はそうそうない。

その場限りの、間に合わせ的な買い物はやめよう。
多少時間がかかっても、自分にとって納得のいく道具を探そう。
ポップスナックメジャーと同じく、料理がきらいになるかどうかは道具によりけり、かもしれないから。そんなことを計量スプーンから学んだ。

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