乾燥し始める秋の終わりから春まで、マンション暮らしの我が家は加湿器がフル稼働である。家族で鍋をぐつぐつさせながら食卓を囲んでいる時や、天気が悪くて洗濯物が外に干せない日、花粉が飛んでいる時期、泊りがけで外出するのでないかぎりは、この約6か月弱ほど基本的に24時間つけっぱなしとなる。
気密性の非常に高い、乾燥気味の我が家にとって加湿器は、冷蔵庫や洗濯機などと同じくらい欠かせない大切な家電だ。
さらにこの加湿器は空気清浄の機能も付いているので、全員が花粉症という家族にとっても依存度は高い。私などはこれが稼働していると思うだけで、くしゃみが減るような気さえする。生理現象のくしゃみも、一部は気からも来るのかねぇ。
しかし、最近花粉より怖いのは排気ガスなどにも含まれるPM2.5といわれる有害物質だ。特に中国から流れてくるというPM2.5だが、日本へは主に偏西風に乗ってやってくるそうなので、この偏西風が日本にかかってくる季節や気圧配置になったら特に要注意だ。
私はこの偏西風が日本に吹き始めたことを強烈に実感する日がある。黄砂だ。中央アジアとか中国内陸やモンゴルといった乾燥地帯の砂漠の上空は常に偏西風が吹いているが、季節が移り、気圧の配置が移動することで、その間を抜けるように吹き流れている偏西風の向きが日本にかかるように自然と変わる頃、乾燥した砂漠地域はさらに降水量が最も少ない時期となり、風で舞い上がった黄砂がその偏西風に乗って日本にも、遠くアメリカにまでも流れてくるんだそうだが、そんな理科的な知識は知らなくても「黄砂は春になると偏西風で飛んでくる」ということだけなぜか昔から記憶していた私は、毎年その日、空を見て、「来たー!」と思うのだ。
上層階の我が家は、季節によって天気によって、空の色が変わるのがよくわかる。周りはそれほど高い建物が無いのと、目の前が広い広い駐車場であるため、高層でなくても空の視界はほぼ180度だ。最初はこれくらいの階でこんなにわかるの?と驚いた。黄砂が飛び始めたりしたらすぐわかる。空が霞んだら黄砂ってわけではないけど、やっぱり黄砂は何とも言えない独特な色だから。その色に気づくと、洗濯物を干していても取り込んでしまったりする。
しかし、PM2.5がテレビで取りざたされるようになり、昼間なのに金星の雲みたいな暗い、何かに恐ろしげなものに低く覆われている中国の都心部の映像を見る機会が増えたある日、「つまり偏西風でコレも飛んでくるってことだよね!」と急に気が付いた。きっとテレビではそう言っていたんだと思う。でも私の頭と耳はザルなんだね、きっと。自分が一人で気が付いたような気になって、「そうなんだ!そうだったんだ!」と、周りに知らせたくてたまらないような気落ちにさえなった。アルキメデスもそうやって風呂場から裸で飛び出したんだな、と冗談抜きで思っちゃうくらい。私がきっと話を聞いていなかっただけなんだけど。
まあともかく、私の中で大発見だった「花粉のピーク時と黄砂の飛来は重なる期間がある」「黄砂が多く飛ぶときはPM2.5もたくさん一緒に飛んでくる」は、理屈がわかればアルキメデスを引き合いに出すような驚愕の事実では決してなく、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な思考のたどらせ方をすれば、それらが一致するってだけのことなんだけど、これを知らなかった自分と知っちゃった今の自分は、対応は同じでも、目的がすっかり変わった。黄砂が付くと汚れるから洗濯物を外に干さない、ではなく、PM2.5がいつもより多く付く日だから、健康に悪いから干さない、となるのだから。
気象庁はこのPM2.5情報も黄砂情報もHPで出している。九州大学応用力学研究所から大気汚染予報のアプリもあるようだ。ダウンロードしてみようかな。
住む地域によって、或は小さいこどもや高齢の人が家族にいるとか仕事内容によって関心の度合いは違うかもしれないけど、「花粉情報」だけじゃなく「洗濯指数」だけじゃなく、この時期は「黄砂情報」も気象庁HPで調べて見なくちゃいけないなって思った。
かれこれ6年使っている我が家の空気清浄機付き加湿器。去年、メインになる重要な部品も取り換えたんだし、ますます頑張っておくれ!