水と非常食

九州熊本を震源とする地震のニュースがテレビで報道され続けている。続く大きな余震のために被害はさらに拡大し、ただ事ではないことが東京にいても伝わってくる。頻繁に続く地震の恐ろしさに加えて、4月とはいえ寒暖差もあり、避難を余儀なくされている人、特に小さな子どもや高齢の方にはつらい環境が続いているだろう。
東日本大震災の時、東京でさえ余震が続いたせいで、自分が揺れているのか、地震が起きているのか分からないような感覚になり、頭もが気持ち悪くなった。おまけに携帯などで聞く緊急地震速報のあの音も異様な響きだ。トラウマになった人もいると聞く。きっと今の熊本では同じことが、あるいはそれ以上の恐怖が絶えず襲ってきているのだろう。体調を崩さないように願うばかりだ。

ここ東京も地震はわりと頻繁に起こる。多くは北関東の茨城県沖や、静岡県駿河湾などが震源となって東京も揺れるが、東京湾が震源であったり、つい最近は調布市が震源であったりと、かねてから心配されてきた首都直下型の大地震がいよいよ近づいてきたのではないか、と思う毎日だ。電車通学をしている子どもには、徒歩で帰って来られるようにルートを書き込んだ地図と、地域の避難場所、緊急連絡先を書いた紙を常時携帯させている。精神的に慌てると、自分自身はしっかりしているつもりでも、決して忘れないはずの電話番号さえ分からなくなることがあると聞くからだ。

阪神淡路大震災の時から、我が家でも非常袋やヘルメット、非常用の長期保存の飲料水は準備しているが、東日本大震災で東京でも大きな揺れを経験し、計画停電など行われてからは、自宅に人数分の非常袋と非常食、卓上ガスボンベ、そして水も長期保存用の飲料水とは別に、洗い物やトイレなどのための水も40L常備するようになった。我が家は15階建てのマンションの13階に暮らしているため、給水車が来たとしてもエレベーターが止まっていたら、非常階段で13階まで水を運び上げなくてはならないからだ。

5年間の長期保存ができる水が3月に期限が切れるとわかっていたので、今年の年明け最初の楽天の買い物は非常用の水だった。480mlの「SSKレスキューウォーター(5年6か月長期保存)」と2Lの「白神山地の5年保存水」が我が家の定番である。

レスキューウォーターの良さはいくつかあるが、まず480mlというサイズがいい。よくある2Lでは手に持って飲むには大きすぎる。またオレンジ色のアルミ缶に入っているため、耐熱ペットボトルより軽量で圧力にも強い。何か固いものにぶつかってもペットボトルより強度があるのも災害時にはいい。また、このオレンジのボトルに黒字で災害用伝言ダイヤルの使い方が図式化して書いてあったり、災害時の帰宅支援サービスを行っている場所のマークなども書かれている。また口がキャップ式なので、給水用の容器にもなるのはもちろんだ。しかし、長期保存できる500mlのペットボトル飲料水は他にもある中で、私がわざわざこのレスキューウォーターを選ぶ理由は、アルミ缶であるというメリットだ。例えば飲み終わったこのアルミ缶に、何か調理した時に出た熱い湯を捨てることなくこのボトルに入れて蓋を締めれば、しばらくの間はカイロ替わりになるだろう。例えば炊き出しで配られた暖かいお茶を入れておくこともできるだろう。もちろん凍らせたり、直火に掛けたりはできないが、ペットボトルには出来なくても、アルミだからできるということもある。災害時は1つのもので何役もこなせるものが重宝になってくる、と阪神淡路大震災を経験した親類は言っていた。

保存食もいろいろ出ているが、やはり家族の人数分、必要な日数分を常備しておくのは大変だ。まず非常食となっている食品は、レトルトでもなんでもお値段が高い。一度にそろえるのは、たとえ長期保存できるものだと思っても、やはり経済的に負担である。それでも我が家は随分前に、東急ハンズであれこれ奮発して買った。しかし、期限の切れる直前にそれらをみんなで食べてみたところ、何とも妙な味なものも多かった。もちろん全ての商品を買ったわけではないから、これは絶品!と言う物があるかもしれないが、我が家が買ったものの中で最終的に生き残ったものは、パンの缶詰、チョコレート、ビスケット、レトルトカレーぐらいで、後はボツになってしまった。

結局、「非常食として売られているものは我が家には向かないね・・・」となり、いつも普通に食べているパスタ、レトルトのパスタソース、うどん、インスタントラーメン、レトルトカレー、粉末スープ、うずらの玉子の水煮や様々な缶詰、フルーツ缶や杏仁豆腐、あずき缶といった甘いものなどを普段の食事の助っ人としてストックして置き、食べればすぐ補充することを繰り返して、万一の際には非常食にもなるというスタイルに落ちついた。後は乾燥野菜、ドライフルーツ、乾物、ふりかけ、お餅、パック御飯、米、ポカリスエットの粉、調味料は決して欠かさないようにできるだけ気を付けている。が、これも非常食のためというより、「あっ、ない!」という普段切らしたときのための在庫だ。
援助物資が届くまでの数日間、少し多めにいつも在庫を持っておくことでしのげれば・・・程度のことだが、今回の熊本のように家屋が倒壊したりしてしまえば、何をどれだけ持っていてもどうにもならない。結局、非常食は「家が保っていられたら」の話だから。

それでも、今日もまた非常食を見なおしておこう。ありさえすれば、自分たち家族だけでなく、近所の人たちと食べ物を分け合うことだってできる。力が出れば力仕事をして助け合うこともできるだろう。そんなことを考えながら、もう一度家族で有事の際はどうするか、話し合おうと思う。

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